コルノ・ボヴィーノのコンセプトの一つに、
「自分が食べているものについて、ちゃんと知りたい人に
確かな情報を提供する」というものがあります。
”自分が何を食べるか”を注意して選ぶことは、
自分の身体を知り体質に合ったものを体に入れる
ライフスタイルを選択することです。
また、食べ物が作られた背景を知って選ぶことは、
私たちが生活する環境や文化、伝統の保全とも関わっています。
1. オリーブオイルに付けられるDOP認証の表示
その情報が明確であると消費者に保証するために、EUが認定し登録した農産物やその加工品につける表示がD.O.P認証です。
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DOPは、EUが特産品保護制度で認定・登録した農産物につける表示マークです。
原料生産からボトリングまでの全工程が、規則で定められた地域内でのみ行われ、生産規定どおりに正しく製造されたことを保証します。
品質規格に適合することを分析で証明し、生産量や在庫量が厳しく管理され、トレーサビリティが確保されています。
DOPは、「保護原産地呼称」と訳されます。「Denominazione di Origine Protetta(デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・プロテッタ)」をDOPと略します。
※英語表記では、PDO; Protected Designation of Origin になります。
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DOP認証がついているオリーブオイルは、本物のエキストラヴァージン・オリーブオイルであることも保証されています。
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参照元:『イタリア産 DOP・IGP オリーヴオイルガイドブック』
イタリア大使館貿易促進部/ イーチェ・イタリア貿易促進機構編
※画像または参照元リンクをクリックで、PDFページが別のタブで開きます。
さて、いったいこれが具体的に意味することはなんでしょうか?
2. DOP認証、伝統食品が発信する情報
なぜ「同一地域内」にこだわるのでしょうか。
DOP認証を受けた農産物と農産物加工品については、次のような条件を備えているのです。
- 農産物がその地域で栽培されてきた歴史がある。つまり、代々受け継がれてきた土着の固有種と生産方法を守っている。
- 生産・加工された食品は、その地域で生きられてきた文化や伝統を反映している。
- 何世代にもわたって栽培されてきた農作物の品種は、その地域ゆえの地理的な特性や気候、環境、文化や経済などさまざまな影響を受けてできあがっている。だからこその風味や個性を持っている。
- 規定された方法と品質を遵守して生産され、認証機関によって分析証明されている。
オリーブオイルのばあい生産効率や生産量を優先するなら、
- 油をより多く搾れる品種ばかりを大量生産したり、たくさん収穫できる地域や国から原料輸入する。
- もっと労働力の安い地域で生産する。
- 伝統的な加工・製造方法より高温圧搾や化学的な抽出方法(同じ量のオリーブの実からより多くのオイルが圧搾できる。しかしエキストラヴァージン・オリーブオイルが持つ微量有効成分や風味・香りなど多くのポジティブな要素を失う)を導入する…
などなどコストを削減する手段はたくさんあります。しかし、それでは長い時を経て受け継がれてきた栽培品種や伝統、文化は消えていってしまいます。地域特性は曖昧になり、その影響は食文化にも及びます。また健康に良い高品質なオリーブオイルも入手困難になるでしょう。
DOP認証は農産物の品種、地域特性、歴史や伝統・文化、食べ物の品質、生産者そして消費者までを保護する制度なのです。
ワインや日本酒、その他の地酒でもそうですが、郷土料理に合ったお酒はやはりその地方で作られているものです。
オリーブオイルも同じです。カンパニア産のオリーブオイルはカンパニア州の郷土料理と相性が良くなります。
郷土料理が肉・魚介、野菜中心のもの、パスタやピッツァなどバラエティ豊かであれば、使われるオリーブオイルのヴァリエーションもさまざまです。
(搾油所ごとに違うブレンドのテクニック、生産者さんの腕の見せどころ!ですね。)
…というわけで、DOPには必ず地域名がついています。
例:DOP コッリーネ・サレルニターネ(サレルノ丘陵の意)
サレルノ丘陵と定義される地域内でのみ、DOP生産規定を守って限定生産されるエキストラヴァージン・オリーブオイルの認証です。
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