フィロはお菓子や惣菜に使われる薄いパリッとした生地で、ギリシャからトルコにかけての地域が起源です。そこから中東のアラブ諸国、さらにヨーロッパへ広がりました。
フィロというのはギリシャ語で「葉」のことです。酵母を加えない薄い生地で、バクラヴァbaklavaと呼ばれる中東やバルカン半島の国々で食べられるお菓子によく使われます。フィロ生地の間に油か溶かしバターを塗って何枚も重ねて作ります。
1975年に出版されたアンセル・キーズ博士の著書“How To Eat Well And Stay Well. The Mediterranean Way” (New York, Doubleday, 1975) ー 地中海式ダイエットの指南書です ー にも市販のフィロ生地についての記述があります。アメリカのスーパーマーケットでも買えるといいのだけど!という文章に続き、でも当時のアメリカには100以上のギリシャ食材店があって大きな街に行けばフィロ生地が買えるとあります。そして問い合わせ先としてニューヨークにあったギリシャ食材店の住所を記しています。
さて現在の日本でも「パートフィロ」という市販のフィロ生地がありますが、なかなか入手しやすいというまでには流通していません。そこで、家庭でフィロ生地を作ることにします。慣れてくると薄い生地を作るのが楽しくなってきます。お菓子の他、前菜やアペリティフのおつまみ、スウィーツ、フィリングを包んでグラタンにしたりと、生地が軽いので小さなお料理にぴったりです。→ほうれん草とチーズをフィロ生地で包んだギリシャ料理、スパナコピタのレシピ(近日公開予定です)
ただ、この生地はとても乾きやすいので、作るときはラップに包み水分が飛ばないようにする配慮が必要です。伸ばしながら生地が破れても大した問題ではないです。生地が薄くなってきたらカード(またはスケッパー)はこの作業の守護神です!大きな穴は生地の端っこを切り取って補修しながら、どんどん伸ばして行きましょう。
材料
フィロ生地4枚分
薄力粉 200g
EXVオリーブオイル 『ロリヴェート』 10g
お湯(40〜50℃) 100g
塩 1つまみ (1g程度)
片栗粉 またはコーンスターチ(打ち粉用)
作り方
[準備]
1. ボウルに薄力粉、オリーブオイル、温めたお湯(40〜50℃くらい)、塩を加えて混ぜる。
2. 生地がまとまってきたら、台に打ち粉をして生地をボウルから出して手でこねる。⇨Tips 1参照
3. 生地を4つに分割してラップに包み、密閉容器などに入れて30分〜1時間ほど(季節による)休ませる。⇨Tips 2参照
[生地を伸ばす]
4. 30分〜1時間が経ったら生地を一つラップから取り出して、手で平たくする。台に打ち粉をして麺棒で生地を正方形に薄く伸ばす。
伸ばした生地を十字に切り分け4枚にする。
5. 生地の間に片栗粉を振りながら4枚を重ねる。※中央の90度にカットされた部分がそれぞれ四角形の隅になるように配置すると、四角形のシートになりやすい。
6. 生地を縦方向に麺棒で伸ばしたら、次に横方向に伸ばす。30cm四方くらいの大きさまで薄く伸ばす。他のラップで包んだ生地も同じようにして薄く伸ばす。⇨Tips 3参照
※保存のしかた:クッキングシートの上にフィロ生地を置いて数枚重ねて巻き、ラップで包む。さらにナイロンの袋に入れておけば乾燥を防げます。冷蔵または冷凍保存する。⇨Tips 4参照
※解凍するときは、常温ではなく冷蔵庫で解凍してから使います。
エネルギー(1枚当たり)229kcal/ タンパク質 4.2g、炭水化物44.0g、脂質3.0g、飽和脂肪酸0.47g、
一価不飽和1.73g、多価不飽和0.54g、コレステロール0mg、食物繊維1.3g、食塩相当量0.1g
レシピのちょっとしたコツ
Tips 1: 生地は始めもそもそしていますが、捏ねるにつれグルテンの網が形成されてきます。わずかでも生地に粘性があったほうが扱いやすくなります。
Tips 2: 冬など乾燥している時期には、生地から水分が飛んでしまうので30分くらい休ませるて伸ばしたほうが良いです。湿度が高い時期は1時間ほど休ませておくと、生地がしっとりしてきます。
Tips 3: 生地にオーブンシートまたはクッキングシートをのせて、上から麺棒で伸ばすとさらに薄くなります。保存して使う場合、薄く伸ばしたほうが余分な水分が飛ぶので、常温に戻したときに生地のベタつきが少ないです。
Tips 4: 生地を重ねて巻く時は、両面加工のクッキングシートを使います。片面加工のシートだと紙の面が水分を吸収して生地が張り付いてしまいます(涙)。
このレシピで使っているオリーブオイル
【自家製フィロ生地】に使ったオリーブオイルは、「ロリヴェート EXVオリーブオイル 250ml」です。
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